「フルリモートで週3日だけ働く」「リモート3日/通勤2日で働く」といった勤務形態は近年増えています。しかし、そのような求人自体は数としては多くなく、また職種も限られます。
この記事では、週2〜3日フルリモートで働く方法や向いている職種、メリット・デメリットを紹介します。実際に週3リモート/週2通勤のペースで働いたことのある人へのインタビューも実施しているので、ぜひ参考にしてみてください。
株式会社ビズリーチが2022年に実施した調査によると、転職サイトの「ビズリーチ」上における「勤務地を問わない新規求人」はコロナ禍が起きる前の2019年10月~12月に比べ11.3倍に急増しているとのこと。コロナ禍を経て、リモートワークは新たな企業の「魅力」として定着したことが分かります。
例えば、実際に求人検索サイトindeedで「週3 フルリモート」という条件求人を検索してみると、9,239件の求人がヒットします。同じく、スタンバイで検索すると924件の求人がヒットしました。(2024年3月現在)
フルタイム求人と比較して数は少ないものの、週3勤務フルリモートの仕事は多く存在することが分かります。
週に3日程度リモートで働きたい、と考えている人は多い一方で「どうすればそんな働きかたができるの?」と悩んでいる人は少なくないはずです。ここでは、 週3フルリモートで働くための具体的な方法について解説します。
一部リモートの制度を認めていない職場の場合、企業との直接交渉によっては、一部リモートを認めてもらうことも不可能ではありません。ただし、企業がリモートワークを導入していないのには、何かしらの理由もあるはず。一方的に要求を突きつけるのではなく、企業がリモートワークを導入しない理由を考えながら交渉できると、実現可能性も高まりそうです。
転職を検討できるなら、リモートワークが実現しやすい職種を選んでみるのも1つの手段です。
ビズリーチの調査によれば、リモートワークでの募集が多い職種は、IT企業のエンジニア職が最も多く、次いで「オンラインの営業企画」「インサイドセールス」「採用・労務などの人事」などの求人も増加しているとか。
他には、WebディレクターやWebマーケター、コンサルタント、広報、エンジニア、デザイナー、ライターなどの職種でも、リモートでの募集が見つけやすい傾向にあります。現在接客業などに就いている場合、こういった業種で活動できないかをチェックしてみるのも1つのポイントといえるでしょう。
思い切ってフリーランスとして独立してみることも検討してみましょう。フリーランスの場合、多くは企業からプロジェクトベースで案件依頼を受けます。受注の方法によっては、週3日だけフルリモートで働き、残りの時間は出勤もしくは休み、といった働き方も不可能ではありません。
ただし、フリーランスは、収入の不安定さや社会保険を全額支払うことによる手取りの減少、毎年の確定申告といった、気をつけたいポイントも発生します。発生する手間や生活への保証のなさを許容できるかはきちんと考慮しておくべきといえるでしょう。
フルタイム勤務よりも短い時間で働く「短時間正社員」。子育て中の保護者などが利用するイメージですが、ベンチャー企業などの一部の会社では、育児中などの事情がなくとも、短時間正社員を雇用することがあります。
勤務時間や日数に柔軟性を持たせられるため、「週3回だけリモートで勤務して、週に2日は休む」といった働き方も不可能ではありません。雇用されるためにスキルは必要になりそうですが、ぜひチャレンジしてみたいワークスタイルといえるでしょう。
ビズリーチの調査によれば、リモートワークの希望頻度として最も多かったのは「週2~3日(40.2%)」。2位以降が「週4日(29.1%)」「週5日以上(27.7%)」と続きます。
キャリモの独自アンケート(※)によると、理想のリモートワークの頻度は以下の通り。
週5日が半数近くと、フルリモートを求める人が多数であることが分かります。続いて週4日が20%、週1日と3日が同率で15%。フルタイム、もしくは週に1度だけ勤務したい、と考える人は、キャリモの調査で65%、ビズリーチの調査では56.8%。いずれも過半数を占めており、リモートワークの人気がうかがいしれます。
※クラウドワークス上でアンケートを実施。期間:2024年2月14日〜2月15日。n=20
キャリモでは、実際に週3日リモート、週2日は通勤というワークスタイルで働いているAさんに独自インタビューを実施しました。
30代前半。都内のIT企業でバックエンドのエンジニアとして勤務。2人の子供がいる。
新型コロナウイルス感染症が流行していた際、社内の多くのチームでフルリモート制度が実施されていたことが、もともとのきっかけです。
私はコロナ禍以降に入社し、フルリモート可という条件で入社しました。ところが、新型コロナウイルスが5類感染症に移行した際、いきなりフルリモートからフル出社となってしまい……。コロナ前はリモート制度が基本的には存在しない会社だったため、「元に戻った」ということなのではあるのですが。話が違うだろう、と思いました。
私と同じようにコロナ禍以降に入社した人が多かったことから、フル出勤には反発も多かったようです。最終的には「チームで決まっていれば、部分的にリモートワークを許可する」という許可が会社から降りました。
通勤の日は、朝6時ごろに家を出て、8時から働いていることが多いです。17時ごろに退勤し、19時ごろ帰宅するイメージですね。我が家は0歳と6歳の子供がおり、二人とも19時前後には寝かしつけているため、通勤する日は妻にほとんどの家事を任せています。
リモートの日は、朝の8時ごろから子供を保育園に預け、9時ごろに帰宅してから働いています。お昼休憩などを途中に挟みつつ、16時ごろ一旦仕事をストップ。しばらく家族の時間を楽しみます。
子供の寝かしつけが終わった20時ごろから2時間ほど働き、退勤。お風呂に入ったり、自分の時間を過ごしたりしたあと、就寝します。
自分個人の意見では、そこまで満足していません。できればフルリモートをしたいからです。子供がもう少し大きくなり、送り迎えなどが不要になったり、身の回りの世話が不要になれば、妻に全ての世話を任せても問題ないのかもしれませんが……。現状では、平日、妻の側に育児の負担が傾きすぎているように思います。
今は、フルリモートができるよう、業務委託での働き方を検討しており、会社とも話し合いを重ねています。転職も検討していますが、今の職場は人間関係がよいこともあり、できれば同じところで働き続けたいと思っているんです。
Aさんのインタビューから、リモートワークは、家庭と仕事のバランスを取る上で欠かせないものであることが分かります。Aさんはエンジニアのため、転職はしやすいかと思いきや、職場の人間関係がよいため、別の会社に移ることはためらいもあるとのことでした。
確かに、たとえフルリモートで働けたとしても、職場の環境が悪ければ、むしろフル通勤のときよりもストレスを感じてしまうかもしれません。職場に何を求めているか、どうすればトータルでのストレス度合いが少なくなるのかを考えておくのは、重要なポイントといえるでしょう。
多くの人にとって魅力的な週3フルリモートの勤務形態。未経験でもフルリモートの職に就くことは不可能ではありません。未経験の人が、一部リモートの働き方を実現するために重要なことを詳しく解説します。
まずは、リモートワーク可能で、さらに未経験でも応募の多い職種を探ることが大切です。たとえば以下のような職種を検討してみましょう。
これらの職種は、オンラインのスクールなども豊富です。未経験からでもスキルを身につけやすいのが特徴といえるでしょう。また、オンライン事務などの場合、チームで秘書業務などにあたる場合も多く、未経験の職種であってもチームメンバーから業務を教えてもらえることがあるかもしれません。
未経験者は、どの程度能力があるのかを計りづらく、企業側も採用を躊躇ってしまうことがあるでしょう。このため、資格やポートフォリオといった、自分のスキルをアピールするためのツールを用意しておきましょう。
転職などを考えている場合は、リモートワークに特化した求人サイトを利用することも重要なポイントです。求人サイトには、サイトごとに特徴があります。リモートワーク業務だけをメインで取り扱っているサービスであれば、未経験者でも受け付けている案件を紹介してもらえる可能性も高まります。
週3日フルリモートや、部分的なリモート勤務を実施するメリットについて、詳しく解説します。
週3日フルリモート勤務のもつメリットとして最も大きなものの1つが、仕事と私生活のバランスが改善することでしょう。勤務日数や通勤時間が削減されることで、家族や趣味の時間に充てることが可能になります。一方で、定期的に外に出られるため、気分転換や運動の時間は確保できることに。
心と体を健康的に保ちやすいのは、大きなメリットといえるでしょう。
自由時間が増えるため、新しいスキルを学んだり、専門知識を深めたりするための自己投資に時間を割けるように。オンラインコースへの参加や資格取得の勉強など、キャリアアップに直結する活動にも余裕を持って取り組めます。
リモート勤務を積極的に取り入れたいと考えている人のうち、少なくない数が、育児や介護など、家にいなければならない事情を抱えています。
子供は急な体調不良にかかりやすいもの。発熱や風邪の症状がある場合は保育園や幼稚園、学校に通わせられないなどの事情を考えると、自宅で働ける環境があるのは大きなメリットといえるでしょう。
また、育児中はしばしば「自分の時間」が取れず、ストレスがたまるもの。たまに子供から離れ、仕事に集中することは、親のメンタルにとってもメリットが大きいはず。仕事と家庭生活の両方でストレスを軽減し、充実感を得られるのは、週3日フルリモートならではの魅力といえるでしょう。
通勤電車などで体力を奪われてしまうことが悩みの人は、通勤がなくなることにより、心身の体力が一気に回復しそう。リモートワークができる日は、副業やパラレルワークに挑戦しやすくなります。「今の職場の仕事だけを続けていて、将来が不安」といった悩みを抱えている人は、ぜひ副業にトライしてみてください。
ただし、副業やパラレルワークは、オーバーワークになりやすいもの。キャパオーバーにならないかどうか、自分の心と体の管理だけは十分に気をつけておきましょう。
リモートワークをしながら、カフェなどを働く場所に選べる場合は、ぜひトライしてみてください。新しいアイデアや新たな気づきを得られることがあるかもしれません。また、コワーキングスペースなどで働けば、さまざまな業界の人々とのネットワーキングの機会も増えそうです。
週5日の完全フルリモートの場合、チャットツールやビデオ会議などを通じてコミュニケーションをすることとなります。「会話がしづらい」「わざわざ機会を作らなければ雑談もできない」と、デメリットに感じている人も多いのではないでしょうか。また、急なトラブル対応などでスピード感のある対処が求められる場合も、リモートの場合、対応が遅れてしまう可能性がゼロではありません。
一方で、週に2〜3日通勤をしている場合、コミュニケーションに関連するトラブルが少なくなりやすい傾向があります。対人トラブルやリスクが低くなるのは、大きなメリットといえるでしょう。
リモートワークは基本的に、同じチームの人と仕事をすることになりがちです。部分的に通勤をすることによって、同じ会社内にいるほかの仲間とも、自然と交流の機会が生まれることでしょう。週5フルリモートのときよりも、業務上で困ったときの解決策を思いつきやすくなる可能性が高まります。
また、リモートワーク中、コワーキングスペースなどで働いていると、普段は交流のない他職種の人々と知り合えることがあるかもしれません。一部リモート勤務は、社内と社外の人間関係を広げやすい、バランスのよい働き方といえるかもしれません。
フルリモート・フルフレックス業務の場合、生活リズムが夜型になってしまう悩みを抱えている人は少なくありません。部分的に通勤をすることで、生活に一定のリズムを作り出せることは大きな魅力といえるでしょう。
朝に起きて夜に寝る生活は、多くの人にとって心地よく、心身をベストな状態にキープしやすいもの。心身の健康のため、フルリモートができるとしても、あえて一部だけ通勤を選ぶ人は少なくないのかもしれません。
職場は、基本的に自宅よりも働きやすい環境が揃っているものです。また、自宅の場合、デスクやチェア、PCについては、部屋のインテリアと調和するものを検討せねばならず、機能性を二の次として考えるケースも少なくありません。
また、職場と自宅と環境が変わることで、新鮮な気持ちで仕事に取り組めるなど、モチベーション維持にも効果的です。
週3日フルリモートという働き方にもデメリットはあります。4つのデメリットについて、詳しく解説します。
リモートワークが一般的なものとなったとはいえ、まだまだ通勤して働く企業の求人が一般的であることには変わりありません。リモートワークに限定して職を探す場合、やや求人が見つけづらくなることは避けられません。
また、リモートワークは人気があるため、求人が見つかったとしても、応募者が多く採用を断られてしまうこともあるかもしれません。
週に数日はリモート、残りは出社というハイブリッドな働き方の場合、仕事モードとプライベートモードの切り替えが難しくなることがあります。特に、リモートと出社の日が交互に来る場合、仕事のリズムをつかむのに苦労することがあるでしょう。
オフィスにいる人とリモートで働いている人が同時に参加する会議が難しくなることがあります。「電波が悪い」「喋る人が一定になってしまう」などの問題から、コミュニケーションに齟齬が生じてしまう可能性も。オフィスにいる人だけで会議が進んでしまう問題も起こりやすいため、なんらかの対策が必須になるといえるでしょう。
週3日リモートで働いていると、オフィスに常駐している人たちとの情報共有が遅れがちになることがあります。出社している人たちを中心に業務が進められることが多く、重要な議論から取り残されてしまうことも。情報共有をしてもらうために、自分から積極的にチームメンバーに話しかけるなどの対応が必要となるため、負担に感じる人も少なくありません。
週3日のフルリモートの場合「出社をしている人だけで業務が進められてしまい、重要な意思決定の場に参加できない」などのデメリットが重なり、思ったようにキャリアを維持できないリスクもゼロではありません。リモートとオフィス勤務のハイブリッド型のワークスタイルでも、キャリアを維持するために重要なポイントについて解説します。
まずは、通勤のために使っていた時間を、専門性を深めるための学習や、将来のキャリアに役立つ新しい技術を習得する時間に使うのは1つのアイデアです。オンラインコースを受講してみたり、本を読んでみたり、セミナーに参加してみたり……。リモートワークだからこそ生まれる時間を、有効に使ってみましょう。
リモートワーク中も、オフィスにいる時と同様に、同僚やチームメンバーとコミュニケーションを取りましょう。定期的なオンラインミーティングの設定やプロジェクトの進捗共有、フィードバックの実施などを通じて、チーム内で会話するきっかけを作ります。
進捗の共有については、ツールなどを利用するのも便利です。仕事に関係のあるミーティングのほか、雑談の機会を設けてみるのもおすすめですよ。
冒頭でも紹介しましたが、思い切ってフリーランスとして独立することもキャリアを維持する選択の一つです。
週3日フルリモートや、週3日リモート/週2出勤といった働き方を正社員で募集している企業は、まだまだ少数派。自分らしい働き方を追求したい場合は、フリーランスとして働くことを検討してみましょう。
フリーランスとして働くことは、自分のスキルを最大限に活かしながら、ワークライフバランスも維持できるとして、多くの人から注目を浴びています。週3日フルリモートで働くことで、仕事とプライベートのバランスを保ちながら、スキルアップにも励めることでしょう。
フリーランスで週に何日かリモートで働きたいと考えている人は、ぜひキャリモにご相談ください。キャリア女性向けのリモート案件を紹介しており、スキルを活かした仕事が見つかります。
週2〜3日からのフルリモート案件も多いため、ライフワークバランスを実現させやすいのも大きな特徴。地方に住んでいる、育児や介護があるなどの理由から、週5で通勤ができず、キャリアそのものを諦める人は少なくありません。キャリモであれば、自分が働ける範囲内でフリーランスとして働き続けられるため、キャリアをさらに充実させられます。