新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの企業でリモートワークが導入されました。なかでも、オフィスに1日も出社しない「フルリモート」の働き方は、通勤時間の削減やワークライフバランスの実現など、さまざまなメリットがあると注目を集めています。
しかし、実際にフルリモートを経験した人からは、「思っていたより大変だった」「長く続けるのは難しい」といった声も挙がっています。
そこで本記事では、フルリモートがきついと感じる主な理由や、MBTI診断で見るフルリモートに向いている人・向いていない人の特徴について詳しく解説します。
さらに、フルリモートワーカーとして実際に働く人へ、独自のインタビューやアンケートも実施。きついと感じるポイントや、きつさを乗り越えるための対処法について紹介しています。
フルリモートを検討している人はもちろん、すでにフルリモートで働いている人も、ぜひ参考にしてみてください。
まず初めに、フルリモートが多くの人にとって「きつい」と感じられる主な理由について詳しく見ていきましょう。
フルリモートでは、同僚と直接会う機会が限られるため、孤立感を感じやすくなります。オフィスでの雑談や気軽な相談ができないことで、仕事上の悩みを一人で抱え込んでしまうこともあるでしょう。
といった課題から、メンタルの落ち込みを経験してしまう人は少なくないようです。
オンラインツールを使った、チャットやビデオ通話などでのコミュニケーションは、対面での会話に比べて微妙なニュアンスが伝わりにくいものです。
誤解やトラブルも対面に比べて生じやすく、業務の効率性が低下する恐れがあります。また、気軽に質問や相談ができないため、問題解決に時間がかかってしまうこともあるでしょう。
フルリモートでは、仕事と私生活の境界線が曖昧になりがちです。仕事が好きな人であればあるほど、仕事に没頭しすぎてしまい、十分な休息を取れなくなってしまい、心身の健康に支障をきたすことも考えられます。
また、家族との時間を確保しづらくなるなど、プライベートな時間が犠牲になってしまう可能性もあるでしょう。
オフィスで働いている際は、同僚の働く姿を見ることでモチベーションが上がることがあります。一方、フルリモートではそのような刺激を得にくくなります。
また、自分がどのようなポイントについて頑張っているのかを上司から見てもらう機会が少なくなります。昇進などが思ったように進まなくない場合は、仕事へのやる気を維持するのが難しくなるかもしれません。
自宅で仕事をする場合、オフィスほどのクオリティで働く環境を整えづらいことがあります。
デスクトップ周りの環境構築はもちろん、狭いスペースでの作業や、家族の話し声などの雑音に悩まされるなど、集中力を保つのが難しい状況に置かれている人もいるでしょう。
フルリモートでは、通勤がないため自然と運動量が減ってしまいます。また、自宅にいると外出する機会も減るため、運動不足になりやすくなります。長時間座りっぱなしの状態が続くと、体の不調を招く恐れもあるでしょう。
自宅には仕事の気分を削ぐ要因が多数あります。テレビやゲーム機、ペットの存在など、オフィスにはない誘惑に負けてしまい、集中力が途切れてしまうことがあるでしょう。また、家事や育児に割く時間が増えることで、仕事に集中できる時間が限られてしまうこともあります。
フルリモートの課題を克服するためには、自分に合った対処法を見つけることが重要です。ここでは、フルリモートのきつさを乗り越えるための具体的な方法を10個紹介します。
自宅で仕事をしていると、集中力が続かなかったり、家事に気を取られたりしがちです。そんなときは、カフェやコワーキングスペースなど、自宅とは別の場所で仕事をしてみましょう。環境が変わることで、メリハリをつけて働くことができるでしょう。
機材などの関係上、外で働くことが難しい場合は、オンライン上で他のユーザーと一緒に作業できるサービスの利用を検討してみましょう。
英語圏のサービスではありますが、Flow Clubなどのサービスであれば、気が散らずに作業に集中できそうです。「誰かと一緒に働いている」という感覚が、モチベーションの維持につながるかもしれません。
同僚とのコミュニケーションが減ると、孤独感を感じやすくなります。ミーティングや会議をこまめに設定し、顔を合わせる機会を増やしましょう。業務に関する情報共有だけでなく、雑談の時間を設けるのも効果的です。
また、リモートワークを導入している組織について書かれた、以下のような書籍などを読んでみるのも参考になりそうです。
仕事の進捗状況を定期的に報告することで、上司や同僚からのフィードバックを得られます。また、自分の仕事ぶりを客観的に振り返ることができるでしょう。進捗報告をルーチンにすることで、やる気を維持しやすくなります。
仕事とプライベートのメリハリをつけることが、フルリモートでは特に重要です。仕事が終わったら、趣味の時間を設けたり、家族や友人と過ごしたりするなど、オフの時間を有意義に過ごしましょう。リフレッシュすることで、仕事への意欲も高まるはずです。
自宅で仕事をしていると、つい仕事に没頭してしまいがちです。しかし、長時間労働は心身の健康を損ねる恐れがあります。退勤時間以降は仕事をせず、プライベートな時間を大切にしましょう。
パソコンの設定を変更し、時間になったら自動的にシャットダウンされるなどの仕組みを作ることも効果的です。
自宅の中に、仕事専用のスペースを設けましょう。仕事モードとプライベートモードを切り替えやすくなるだけでなく、集中力も高まります。広いスペースが取れない場合は、パーテーションなどを活用してみてください。
所属する企業の風土によっては、フルリモートでの働き方がしっくりこないこともあります。そんなときは、リモートワークの文化が根付いている職場への転職を検討してみてはいかがでしょうか。
IT企業やベンチャー企業などでは、創業当初からフルリモートを前提に社員を集めていることも多く、リモートワーク制度で働きやすい制度が整っていることも珍しくありません。
フルリモートで頑張っている自分を、ときには褒めてあげましょう。仕事の節目などに、自分へのご褒美を用意するのもおすすめです。自分を認めることで、仕事へのモチベーションにもつながるでしょう。
正社員やパートなどで働いていると、会社からの指示で、フルリモートが難しくなってしまうことも考えられます。介護や育児をしているケースや、心身の状態からどうしてもオフィスに出社することが難しいと最初から分かっている場合は、フリーランスとして働くことも検討してみましょう。
フリーランスの場合、自分の裁量で仕事を選べるため、フルリモートのきつさを感じにくくなるかもしれません。ただし、安定した収入を得るためには、一定のスキルや実績が必要になることには注意が必要です。
キャリモでは、実際にフルリモートで働いている人に向けて、どのようなことについてきついと感じているのかアンケートを実施しました。きつさへの対処方法などについても解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
(※)実施期間:2024年5月16日〜2024年5月21日、調査方法:クラウドワークス、n=70。東京圏以外に住んでいるワーカーにアンケートを実施。
フルリモートをきついと感じる人は、以下のような理由を挙げていました。
フルリモートワークにおける最大の課題は収入面であるといえます。約3割の人が、収入の不安定さや少なさをきついと感じていました。
また、業務効率の悪さも課題です。以下のような声が挙げられました。
地方に住んでいても、オフィスと同じような快適な作業環境を構築できるかどうかは、よく検討しておきましょう。
一方で、フルリモートに特にデメリットを感じていない人も4%程度いることから、働き方の好みや適性には個人差があることがうかがえます。
きつさがどの程度続いたかについても、アンケートを取りました。以下のような結果が出ています。
約3割の人が、フルリモートワークの「きつさ」が継続的に続いていると回答しています。
一方で、数ヶ月よりも短い期間できつさが解消されたと回答している人は、全体の約4割。フルリモートワークがきついのは、最初の一定期間のみ、という人も存在するようです。
全体的にみても、全体の7割近い人は、時間が経過することによってきつさが解消されたと感じています。
フルリモートがきついと感じたひとたちは、どのように対処をしているのでしょうか。以下のような回答が集まりました。
最も多かったのは、仕事の探し方や獲得方法を工夫する方法です。多くの人が、収入の不安定さ・少なさに対応しようとしていることが分かります。
また、気分転換やストレス解消など、ソフト面での対応が重要だと考えている人も多いことが分かりました。
一方で、仕事の環境を変えることや、時間管理・効率化に取り組むなどのハード面での取り組みも、それぞれ11.4%の人が対処法として挙げています。
先輩リモートワーカーの方から、きつさに対処するための方法について、具体的にうかがいました。
在宅で、ライティング作業などに携わっているueno moekoさん。
リモートワークの結果、人と接することがなくなったことを、課題として挙げていました。試行錯誤を続け、半年ほどして、きつさはずいぶん緩和されたそうです。
「きつさが続いたのは半年ほどです。たまにはカフェなどに行って作業したり、サークルなどに参加したりして、人と交流するようにしました」
育児の合間に、在宅で電話のカスタマーサポートといった営業事務を担当しているhita05さん。
「出社しているときより電波が悪く、電話対応中、お客さまから”聞こえにくい”とお伝えいただいてしまうことがあります。また、ほかの従業員さんに研修などを実施するときも、リモートのため操作が説明しづらいことがあります」
解消が難しい課題ですが、hita05さんは以下のように対処されているとのことでした。
「リアルタイムの通話ではなくメールを使うことや、オンラインで面談をする際はアプリを変えてみるなど、その時できる対応をしています」
金融分野のライターとして活動されているAugustusさん。
フルリモートで働くきつさとしてAugustusさんが感じていたのは、収入の低さや、ハードワークになりがちな点です。
「「最初の2〜3年ほどは、報酬が低いことが気になっていました。また、仕事量が増えすぎて、納期に間に合わせるのが大変だったこともありました」
Augustusさんはこの問題を、以下のように解決したそうです。
「最初は、睡眠時間を削って働く時間に充てていました。でも、この方法では体がもたず、慢性的な体調不良を覚えるようになってしまいました。
これではいけない!と、1年ほどは完全に体を休める期間をとりました。今は、自分に負担の出ないよう、タスク型の案件だけを引き受けるようにしています」
フルリモートでの働き方は、誰にでも適しているわけではありません。ここでは、フルリモートをきついと感じやすい人の特徴を5つ紹介します。
オンラインでのコミュニケーションよりも、対面での会話のほうが仕事をしやすいと感じる人は、フルリモートに苦手意識を持つかもしれません。
以下のような人は、フルリモートよりも、オフィスに通勤する日を挟んだほうが、心身ともに健康的に過ごせるかもしれません。
職場では、周囲の目を意識することで、自然と緊張感が生まれます。しかし、フルリモートでは人の目を感じにくいため、怠けてしまいがちです。
緊急性の高いタスクがあったとしても、人の目がなければ取り組むきっかけを作りづらい人は、フルリモートでの働き方に適応しづらいかもしれません。
狭いスペースしかなかったり、家族の協力が得られなかったりすると、仕事とプライベートの切り替えが難しくなります。
同僚とのコミュニケーションを楽しみ、人との交流を大切にする社交的な人は、フルリモートでの孤独感に悩まされるかもしれません。オフィスでの雑談や飲み会など、対面でのコミュニケーションの機会が減ることで、ストレスを感じやすくなります。
仕事に対する責任感が強く、常に高い成果を求める真面目な人は、フルリモートで働き過ぎてしまう恐れがあります。自宅にいると、つい仕事に没頭してしまい、オンとオフの切り替えができなくなるからです。
フルリモートでの働き方が合っている人のタイプについても、詳しく解説します。
自分で仕事を管理し、計画的に進められる人は、フルリモートでも高い生産性を維持できるでしょう。上司や同僚の目がなくても、自分に課した目標に向かって着実に仕事を進められる人は、フルリモートの恩恵をより受けられそうです。
オンラインツールを使ったコミュニケーションに抵抗がない人は、フルリモートでも円滑に仕事を進められます。チャットやビデオ会議などを活用し、同僚とスムーズに情報共有やディスカッションができる人は、リモートワークに適しているといえるでしょう。
オフィスでの勤務とは異なる環境でも、臨機応変に仕事のやり方を調整できる適応力をもっている人は、リモートワークという新しい働き方にも柔軟に対応できそうです。
仕事に対する意欲が高く、自分の力を信じて取り組める人は、フルリモートでも高いパフォーマンスを発揮できるでしょう。周囲からの評価や承認がなくても、自分の仕事に集中できるタイプなら、周囲からの承認や評価を得づらいフルリモートワークでも、やりがいをもって働けます。
仕事と私生活のバランスを大切にする人は、フルリモートの環境を活かせるかもしれません。通勤時間がない分、自分の時間を有効に使えるからです。
育児や介護をしている人や、仕事以外の時間も大事にしたい人、副業をしている人などは、ぜひフルリモートワークを検討してみてください。
「自分がリモートワークに向いているかどうか、働いてみないと分からず不安」という方は、ぜひ、性格診断の一つであるMBTI(マイヤーズ・ブリッグス・タイプ・インジケーター)にトライしてみてください。
インターネットでも無料で簡易的な診断ができるため、自分の性格や特性を把握するのに役立てられます。
参考:無料性格診断テスト | 16Personalities
ここでは、MBTIの16タイプの中から、フルリモートワークに特に向いている3つのタイプを紹介します。
INTJタイプの人は、自律性が高く、計画的に仕事を進められます。自分の判断を信じて行動できるため、上司や同僚からの指示がなくても、自分で仕事を管理できるでしょう。また、集中力が高いため、自宅でも効率的に仕事に取り組めます。
INTPタイプの人は、柔軟性があり、新しいアイデアを生み出すことができます。自分のペースで仕事ができるため、リモートワークの自由度の高さを活かせるでしょう。また、論理的思考力が高いため、オンラインでのコミュニケーションでも的確に意見を伝えられます。
ISTJタイプの人は、規律正しく、着実に仕事を進められます。自己管理能力が高いため、リモートワークでも高い生産性を維持できるでしょう。また、現実的な思考力を持つため、常に建設的な方法を用いて問題解決にあたれます。
一方で、フルリモートワークがあまり向いていないMBTIタイプもあります。ここでは、リモートワークに苦手意識を持ちやすい3つのタイプを紹介します。
ただし、向き不向きはあくまで一般論です。個人差が大きいことは、忘れないでください。自分の性格特性を理解した上で、リモートワークのメリットを活かせるかどうかを見極めることが大切です。
リモートワークで働くか迷ったときは、まず、今の勤務先でリモートワークができないか検討してみることや、副業などから初めてみることを考えながら、自分に合っているかを見定めましょう。
ESFJタイプの人は、対面でのコミュニケーションを好み、他者との協働を重視します。リモートワークでは直接的な交流の機会が減るため、孤独を感じやすいかもしれません。また、感情面を重視するタイプのため、オンラインでのコミュニケーションでは誤解が生じる可能性があります。
ESFPタイプの人は、社交性が高く、周囲の反応を見ながら行動します。リモートワークでは、オフィスでの雑談や飲み会などの機会が減るため、刺激が少ないと感じるかもしれません。また、自由奔放な性格のため、自宅での仕事に集中しづらいことがあります。
ENFJタイプの人は、人との関わりを大切にし、直接的なコミュニケーションを好みます。オンラインでの交流では、相手の反応を読み取りづらいため、満足感が得にくいかもしれません。また、他者の意見を取り入れる傾向が強いため、リモートワークでは意思決定に時間がかかることがあります。
パートや正社員といった、雇用される形態でのフルリモートワークで、思ったように就職先が見つからない場合は、フリーランスになることも一つの選択肢です。フリーランスになれば、自分の裁量で仕事を選べるため、リモートワークのきつさを感じにくくなるかもしれません。
一方で、フリーランスは、安定した収入が得られないリスクや、福利厚生がないなどのデメリットもあります。自分に合ったワークスタイルを見つけるためには、様々な選択肢を検討し、自分の価値観やライフスタイルに合った働き方を選ぶことが重要といえるでしょう。
フリーランスとして一定の収入を得るためには、信頼できるクライアントを複数確保することが重要です。また、毎月安定した収入を得たいと考える場合は、時給での支払いなども検討してみましょう。
本記事では、フルリモートワークがきついと感じる理由と、その対処法について詳しく解説しました。
孤独感やコミュニケーションの難しさなど、リモートワークには様々な課題がありますが、自分に合った方法で乗り越えている先輩ワーカーたちはたくさんいます。また、リモートワークに適応できない場合は、フリーランスになることも一つの選択肢です。
ただし、フルリモートワークは、メリットとデメリットがあり、誰にでも適しているわけではありません。自分に合った働き方を見つけるためにも、「フルリモートは無理」「絶対にフルリモートでなければダメ」と最初から決めてしまうのではなく、さまざまな選択肢を柔軟に検討できるとベストです。
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