「通勤の負担を減らすために、フルリモートで働きたい」と考えている人は少なくありません。しかし、フルリモートへの転職を考える際に、気になるのが年収です。「リモートワークになると、年収が下がってしまうのではないか」と不安に感じ、転職を躊躇する人も少なくないでしょう。
そこでこの記事では、フルリモートで働く際の年収について解説します。年収の目安やフルリモートで働く方法、年収アップの方法などを紹介します。キャリモが独自調査した、実際にフルリモートで働く人100人以上に実施したアンケートの内容も紹介。フルリモートでの転職やキャリアチェンジを考えている方は、ぜひ参考にしてください。
コロナ禍を経てフルリモートワークでの働き方が一般的なものとなりつつあるなか、年収への影響は、多くの人が気になるポイントなのではないでしょうか。ここでは、求人サイトやアンケート、キャリモの実施した独自調査などを見ていきながら、フルリモートワーカーの平均年収について解説します。
求人サイトのindeedでフルリモートの求人を検索してみると、予想される年収は以下の通りです。
※2024年3月時点
検索結果を見てみると、フルリモート求人のうち、最も多い年収は300万円以上、次いで400万円台の求人が多いことが分かります。dodaの調査(※)によれば、ビジネスパーソン全体の平均年収は、男性464万円、女性356万円。
フルリモートであっても、平均年収と大きく変わらず、一定の収入を期待できることが分かります。
※2022年9月〜2023年8月におけるデータを使用した調査
また、株式会社Geeklyの調査によると、IT人材のみに絞った場合、フルリモート勤務をしている人の年収はやや高くなることが分かります。調査の結果は以下の通りです。
フルリモート勤務をしている人が最も多い年収分布は800万円以上。次いで700万円、400万円台と続きます。一方、フルリモート勤務を実施している人が最も少なかったのは、300万円以下の年収層でした。
ディレクションやマネジメントなど、業務のいわゆる「上流工程」に位置するような業種が、フルリモートでの働き方を選んでいることがうかがえます。
フルリモートの業務委託案件を紹介している弊社「キャリモ」では、フルリモートで働く人に独自調査を実施しました。調査の結果を解説します。
※アンケートはクラウドワークス上で実施。期間は2024年03月14日〜2024年03月28日。n=116人。
年収の分布は、以下の通りです。
フルリモートで働く人の約半数(58.62%)が年収300万円台以下であり、特に100〜200万円台が25.86%、300〜400万円台が32.76%と高い割合を占めています。年収100万円以下の割合が17.24%と比較的高いことから、パートタイムやフリーランスなどの働き方でフルリモートを選択している人が一定数いることが考えられます。
一方で、500〜600万円台が14.66%、700〜900万円台が6.90%、1,000万円以上が2.59%と、高年収の割合も一定数存在します。
調査の結果、フルリモートワークで働く人の年齢分布は以下の通りでした。
フルリモートで働く人の年齢層は30代が最も多く、43.10%を占めています。これは、30代がキャリアと私生活のバランスを重視する傾向があり、柔軟な働き方を求めているためと考えられます。
次いで、20代が25.86%。新しい働き方などに抵抗のない年齢層だからこその選択かもしれません。続く40代は20.69%。30代と同様、家庭と仕事の両立を図るためにフルリモートを選択している可能性があります。
全体的に見ると、フルリモートで働く人の大半は20代から40代で、これらの年代がワークライフバランスや柔軟な働き方を求めていることがわかります。
働き方(雇用形態)は、以下のような割合でした。
正社員(時短勤務などを含む)が52.59%と最も高い割合を占めています。新型コロナウイルスの流行以降、多くの企業がフルリモートワークを導入し、正社員にも柔軟な働き方を認めている流れが読み取れます。
2番目に多いのは、自営業(フリーランス)で22.41%。これは、フリーランスの仕事の性質上、フルリモートでの働き方が選択されやすいからかもしれません。
非正規雇用であるパート・アルバイト、契約社員、派遣社員の割合は、合計で22.41%となっています。
フルリモートワークは正社員と自営業(フリーランス)で特に選択されている一方、非正規雇用でも一定の割合で導入されていることがわかります。
業種についても調査を実施しています。結果は以下の通りです。
クリエイティブ関連が33.62%と最も高い割合を占めています。デザイン、ライティング、編集など、クリエイティブな仕事はリモートワークに適していると考えられます。
IT・テクノロジー関連の業種も、17.24%と高い割合を占めています。プログラミングやシステム開発など、IT関連の仕事はリモートワークに適しており、この業種でのフルリモートワークの導入が進んでいることがわかります。
サポート・カスタマーサービス関連は6.03%と比較的低い割合ですが、オンラインチャットやメールでの対応が可能なため、一部の企業ではフルリモートでの顧客対応が実施されていることが分かります。
フルリモートでの勤務を始めた理由についても調査しました。以下のような結果が出ています。
社会・環境的要因が25.00%と最も高い割合を占めています。新型コロナウイルスの流行が影響し、企業によるリモートワークの推進が進められたことが考えられます。人材不足でリモートワークの導入を決定した企業もあるかもしれません。
また、家族や育児の都合が23.28%と2番目に高い割合となっています。子育てと仕事の両立を図るために、フルリモートでの勤務を選択する人が多いことがわかります。
次いで多いのが、健康・医療的理由で18.10%。身体的な制約や健康上の理由から、通勤が難しい人がフルリモートワークを選択しているケースがあると推測されます。
フルリモートでの勤務は社会・環境的要因、家族や育児の都合、健康・医療的理由など、多様な理由で選択されていることがわかります。また、キャリアの柔軟性や仕事と生活のバランスを重視する人も一定数存在することが明らかになりました。
業種やもともと持っているスキルによっては、未経験でもフルリモートの職に就くことは可能です。
たとえば、ライティングや事務、データ入力、カスタマーサポートなどの職種は、専門知識やスキルがない未経験者でも求人を見つけやすい傾向にあります。
また、エンジニアやデザイナーといったスキル重視の業種でも、ポートフォリオなどの完成度によっては、採用されることもあるでしょう。
ただし、スキルをもった人のほうが仕事を見つけやすいのは確かといえるでしょう。フルリモートワークを導入している企業は徐々に増えてはいるものの、まだ多数派とは言えないのが現状。特に、コロナ禍が落ち着き、感染症の分類が5類に移行されたことで、一部の企業ではリモートワーク制度を縮小・廃止する動きも見られます。
フルリモートの仕事を探す際は、自身のスキルや経験に加えて、企業のリモートワーク制度の動向もしっかりとチェックしておく必要があります。コロナ前からリモートワークを継続的に実施している企業や、ポストコロナでもリモートワークを推進する方針を掲げている企業などを中心に、求人情報を探してみましょう。
フルリモートで働ける主な職種と、それぞれのフルタイム正社員としての想定年収を見ていきます。
正社員で働いた場合に300万円台を狙える職種には、以下のようなものがあります。
職種 | 仕事内容 |
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ライター | コンテンツ制作やブログ記事の執筆など、ライティングスキルを活かせる職種。経験や専門性によって報酬は異なる |
デザイナー | Webサイトやアプリのデザインを担当。UI/UXデザインの知識やスキルが求められることもある |
事務 | 企業の事務作業や秘書業務を担当。書類の作成や管理、スケジュール調整などを担当するほか、場合によっては経理などを担当することもある |
カスタマーサポート | 顧客からの問い合わせや相談に対応する。電話やメール、チャットでのサポート業務を担当するケースが多い |
翻訳家 | 外国語の文章と日本語とを翻訳する。専門分野や言語によって報酬は異なる |
営業 | 商品やサービスの販売を担当。企業によっては売り上げにインセンティブがつくこともあり、その場合は400万円以上を狙えることも |
経理 | 企業の財務管理や会計業務を担当。スキルによって年収は異なるが、400〜600万円程度が目安 |
500万円以上を狙える職種も存在します。ただし、500万円以上の職業については、それなりの専門性やスキルが求められるため、未経験では仕事を見つけるのが難しいかもしれません。
職種 | 仕事内容 |
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広報 | 企業の広報戦略の立案や実行を担当。プレスリリースの作成、メディア対応、企業のメディアやSNSの更新業務などを担当する |
編集者 | 書籍や雑誌、Webコンテンツの編集を担当。原稿の校正や編集作業を主に実施する |
カウンセラー | メンタルヘルスの相談や支援を行う職種。年収は300万円〜600万円程度が目安 |
カスタマーサクセス | 製品やサービスの使い方をサポートしたり、顧客のフィードバックを収集したりする。企業や業界によって、必要なスキルや経験は異なるため、求人情報を確認する必要がある |
700万円以上の高水準な年収を狙える職種は以下の通りです。
職種 | 仕事内容 |
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プログラマー・エンジニア | Webアプリやソフトウェア、システムなどの開発や設計、運用を担当。扱える言語や開発環境によって年収に違いがある |
プロジェクトマネージャー | プロジェクトの進捗管理や調整を行う。チームのマネジメントや課題解決がリモートで可能な場合、年収は700万円以上になることも一般的 |
フルリモートで働く方法は、正社員以外にもあります。働き方それぞれの特徴を理解し、自分に合った働き方を選択することが重要です。
正社員としてフルリモートで働く場合の魅力は、雇用の安定性が高く、福利厚生が充実していること。一方で、求人数は他の雇用形態と比べて限られており、競争率も高くなる傾向があります。正社員の求人を探す際は、企業の規模やリモートワーク制度の充実度などをしっかりとチェックしましょう。
契約社員は、正社員と比べると雇用期間が限定的ですが、その分、求人数は多くなる傾向にあります。フルリモートの契約社員求人は、IT系の職種に多く見られます。スキルや経験を積むための一つの選択肢として、契約社員という働き方を検討してみるのも良いでしょう。
パート・アルバイトは、正社員や契約社員と比べると労働時間が短く、シフトの融通が利きやすい傾向にあります。
カスタマーサポートや販売、データ入力などの職種でフルリモート求人が見つかることもあるため、パートやアルバイトでリモート勤務をしたいと考えている人は、普段からこまめに求人サイトをチェックしておくとよいでしょう。
業務委託(フリーランス)は、個人事業主として企業から仕事を受注する働き方です。自由度が高く、報酬も能力次第で高くなる可能性がある一方で、収入の不安定さや仕事の探し方などについては自身で責任を持つ必要があるなど、自己管理能力が求められます。
フルリモートのフリーランス求人は、ライティングやデザイン、プログラミングなどのクリエイティブ系の職種に多いのが特徴です。
従業員同士のコミュニケーションがオフィス勤務よりも少なくなりがちなフルリモート勤務。年収をアップさせるためには、オフィス勤務とは異なったアプローチが効果的なケースもあるかもしれません。ここでは、フルリモートで働く人が年収を上げるための4つの方法を紹介します。
フルリモートワークで年収を上げるための最も効果的な方法の1つは、自分の市場価値を高めることです。新しいスキルを身につけたり、既存のスキルを磨いたりすることで、より高い報酬を得られる仕事にステップアップできる可能性が高まります。
たとえば、オンラインコースや資格取得など、自己投資のきっかけになるような学びについては、ぜひチャレンジしてみてください。
フルリモートワークでは、成果に連動したインセンティブ制度を導入している企業もあります。たとえば営業職であれば売り上げに応じて、もしくはマネジメント職、技術職などであればプロジェクトの達成度に応じて、企業からボーナスが支給されるような仕組みが考えられます。
インセンティブ制度がある場合は、ぜひ頑張りが評価されるような働きを残してみましょう。
現在の職場で年収アップが見込めない場合、転職によって固定給を引き上げることを検討してみましょう。フルリモートワークの求人は年々増加しており、より高い年収を提示している企業を見つけることができるかもしれません。
ただし、転職には慎重な判断が必要です。自分のスキルや経験が求人要件に合っているか、また、企業の評判や将来性なども十分にリサーチした上で決断しましょう。
本業だけでは年収アップが難しい場合、副業を始めることで収入の増加を検討してみましょう。場所や時間に縛られないというフルリモートワークの特徴を活かし、本業の合間に副業をすることで、トータルの年収を上げることが可能です。
ただし、本業の効率や心身に支障をきたさないよう、十分注意が必要です。また、副業を始める前に、本業の雇用契約上、副業が認められているかどうかも確認しておきましょう。
フルリモートでの転職や案件探しは、オフィス勤務とは異なる特有のポイントがあります。ここでは、フルリモートワークで成功するための5つの重要なポイントを解説します。
フルリモートワークでは、自律性とコミュニケーション能力が特に重要視されます。オフィスでの勤務と比べて、上司や同僚からの直接的な指示やサポートを受ける機会が少ないため、自分で仕事を管理し、進めていく能力が求められます。
また、リモートでのコミュニケーションでは、明確かつ簡潔な情報伝達が欠かせません。「コミュニケーション能力に自信がある」「タイムマネジメントが得意」という人は、これらのスキルをアピールすることで、フルリモートでの転職や案件獲得につなげましょう。
フルリモートワークでは、自宅などの私的な環境で業務を行うことになるため、セキュリティ対策が極めて重要です。経理、IR関連資料などの機密情報を扱う際は、カフェなどで作業をしないなどはもちろん、必要であればVPNを使用するなど、厳密なデータの取り扱いを厳守しましょう。
フルリモートワークでは、自分でスケジュールを管理する必要があります。オフィスでの勤務と異なり、同僚や上司の目が届きにくいため、自己管理が重要になります。
このため、納期や締め切りを守り、確実に成果を出すためには、しっかりとしたスケジュール管理が欠かせません。タスク管理ツールやカレンダーアプリなどを活用し、効率的に業務を進めましょう。
フルリモートワークでは、メールやチャットでのコミュニケーションが中心になります。スムーズな業務進行のためには、迅速なレスポンスが求められます。
メッセージを受け取ったら、できるだけ早く返信するよう心がけましょう。また、自分から積極的に仕事の進捗や現状などを報告し、コミュニケーションを円滑に進めることも大切です。
企業によっては、完全なリモートワークが難しいこともあるかもしれません。もしもオフィス出社が可能な場合は、一部リモートの選択肢も検討してみましょう。
週に1〜2日はオフィスに出勤し、残りの日はリモートで働くというハイブリッドな働き方を取り入れている企業も増えています。また、一部リモートであれば、オフィスでの対面コミュニケーションも可能であり、フルリモートへの移行がスムーズに進められるかもしれません。
フルリモートワークは、柔軟な働き方や家族との時間を大切にできるメリットがある一方で、収入面での不安を感じる人も少なくありません。しかし、フルリモートでも、人によっては正社員時代と変わらない収入を維持できているケースもあります。
特に、IT系のエンジニアやデザイナー、ライターなどの職種では、フルリモートでも高い収入を得られる可能性があります。自分の持つスキルや経験を活かし、クライアントに価値を提供することで、安定した収入を得ることができるでしょう。
とはいえ「育児をしながらフルリモートで働いてみたいが、転職活動をしても思うようにフルリモートの案件を見つけられない」……と悩んでいる人もいるかもしれません。そのような場合は、まず副業などの形でフリーランスとして働いてみることを考えてみてもよいでしょう。フリーランスの経験を積むことで、将来的にフルリモートの正社員として働く際にも、その経験が活かせるはずです。
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