フルタイムで働きながら子育てをするママは少なくありません。しかし、育児と仕事の両立は体力と気力の消耗も激しく、簡単にできることではありません。実際に、フルタイムと子育てを並行するのは無理だと感じる人も少なくないことでしょう。
そんなママたちに向けて、この記事ではワーキングマザーの現状や、育児と仕事を両立する上で発生する問題点、無理せず乗り切るコツや働き方のアイデアを紹介します。
フルタイムでの勤務と子育てが両立できるのか不安に思っている人は、ぜひ参考にしてください。
日本女性のフルタイムと子育ての両立は、世界的に見ても厳しい状況にあります。
OECD(経済協力開発機構)が2020年にまとめたデータによると、日本女性が、1日あたりにかけている有償労働の時間は平均272分、約4時間半です。また、無償労働の時間は224分、3時間45分程度です。
OECDの女性平均は、有償労働が218分、無償労働が262分。日本女性は平均よりも長く、有償労働にあたっていることが分かります。
また、有償労働時間と無償労働時間の合計時間は、全ての国の中で日本女性が最長の496分(8時間16分)。なお、日本男性は3位の493分(8時間13分)です。日本は、男女問わず、世界で最も働く時間が長いことが分かります。
なお、睡眠や食事など、余暇以外のセルフケアに当てる時間は、日本女性は比較国の女性中で最短の626分(10時間半程度)。世界のどの国よりも、寝る間を惜しんで、家事や仕事などに勤しむ日本女性の姿が、調査からは浮かび上がってきます。
フルタイムでの勤務と子育てを両立させるのは難しいと感じている人は数多くいます。インターネット上から、育児と仕事に悩むワーキングマザーの声を集めました。
12年働いた会社を辞めました😇
— ちこ🐰 (@CHICODIET11) September 19, 2023
フルタイムで働いて、家事・育児・仕事が回らず限界迎えました😇
毎日バタバタ、イライラ、家はぐちゃぐちゃ、慢性的な睡眠不足と疲れ、著しい記憶力の低下…😵💫
元々女性の少ない業界で、ウチの会社で2人産んで帰ってきたのはワタシだけ(この言葉でお察し下さい笑)… pic.twitter.com/YpxrMTtzCm
小4からフルタイム勤務になったと想像して、そこから残業普通に発生してから帰宅してワンオペ育児…地獄しかないのが目に見える…
— こっこ👧🏻👦🏻 (@baby_mama_2018) September 20, 2023
実家や祖父母の力を借りずワンオペ✖️フルタイム勤務(毎日出社)してるワーママ勢は何をどうやって生き抜いていらっしゃるのかマジで聞きたい…
我が家は共働きですが、家族の協力なしで共働きは到底叶いません。
— すみれいろ (@violet_mom1) September 18, 2023
ママは抱えている家事育児をある程度手放さないと潰れてしまいます。また環境が変わるタイミングは特にサポートが必要と思います。専業主婦・パート→フルタイム、だけでなく、産休・育休のママが職場復帰するタイミングもほぼ同じ。 https://t.co/QJeq92FXFR
育児と仕事の両立について語っている投稿で「簡単」と述べているものはほぼ皆無です。特にワンオペの場合、難易度はかなり高いといえるでしょう。家族や親族などのヘルプや、職場の理解などがなければ、育児とフルタイムでの仕事を両立させることは難しいのかもしれません。
独立行政法人労働政策研究・研修機構の「子どものいる世帯の生活状況および保護者の就業に関する調査2018(第5回子育て世帯全国調査)」によると、母親が正社員で働いており、祖父母から子供の世話などの援助を月2回以上受けられる割合は、シングルマザーの場合36.7パーセント、二人親世帯の場合44.1パーセント。正社員として働くママの2.2〜2.7人に1人は、親に頼りながら働いている状況であることが分かります。
なお、世話などの援助が受けられる割合は、パートや契約社員の場合、およそ3割まで低下します。親の援助があるからこそフルタイムで働けるという人は少なくないのかもしれません。
また、世話などの援助のほか、経済的な援助を祖父母から受けられているのは、雇用形態やシングルかどうかに関わらず3割前後。意外にも、やや少数派であることが分かります。
フルタイムで働きながら子育てをするママは、多くの問題に直面しています。ここでは、その代表的なものを4つ紹介します。
フルタイムで働くときの最も大きな問題は、子供と過ごす時間が減ってしまうことでしょう。
子供が小さいうちは、成長のスピードも速いもの。母親である自分よりも先に、保育園の先生が子供の成長を見届けていたことを知ってショックを受けることは、ワーキングマザーが必ず通る道といっても過言ではないかもしれません。
ただし、どれほど一緒にいる時間が少なかったとしても、子供は「先生」と「親」を確実に区別しています。長い時間を共有できなかったとしても、それによって子供の愛情が減ることはありませんから、安心してくださいね。
フルタイムで働くママは、仕事と家事・育児の両立に追われて、自分の時間を持てません。自分の趣味や好きなことをする時間がないと、気力が持たなくなったり、自己肯定感が低下したりすることがあるかもしれません。
一息つける瞬間があまりにも少ないと、ストレスが解消されないままになることもあるかもしれません。また、気分をリフレッシュできず、ママだけでなく家族全員の不満や不安につながることも考えられます。
総務省統計局の令和3年社会生活基本調査によると、ワーキングマザーの平均睡眠時間は7時間15分程度。女性全体の平均は約7時間50分、男性全体の平均は約8時間のため、働く母親の睡眠時間は全体から見ても少ないことが分かります。
睡眠不足に陥りがちなワーキングマザー。睡眠によって疲労やストレスを回復できないことは、身体的・精神的な健康に悪影響を及ぼします。
また、加えて、育児中は自分のご飯も急いで食べなければならず、栄養不足になってしまうこともあるでしょう。免疫力や代謝が低下するのはもちろんのこと、場合によっては、睡眠不足とあわせて、うつ病や不安障害などの精神疾患の原因になってしまうことも考えられます。
育児と仕事の両立に理解のない職場では、残業や出張などの要求に応えられなかったり、休暇や時短勤務などの制度を利用したりすることで、上司や同僚からの評価や信頼を失ったりすることがあります。また、育児と仕事の両立に理解のある職場でも、自分の能力や責任感を疑われたり、キャリアアップの機会を逃したりすることもあるかもしれません。
フルタイムで働く場合、職場は1日のほとんどを過ごす場所です。1日のほとんどを、いづらい場所で過ごすのは、メンタルにもかなりのダメージとなることが予想されます。
フルタイムで働きながら育児をする大変さは、子供の年齢によっても変わってきます。それぞれの年齢ごとに、何が辛いのかを解説します。
夜泣きや頻回授乳など、体力的な辛さがメインの0歳児期。特に睡眠不足はほとんどのママが経験しており、その辛さを訴えています。
フルタイムで働いている場合、この時期は育休を取得しているママがほとんどですが、保育園の入園時期や働き方によっては、0歳児の時点で仕事に復帰することもあるでしょう。
産後すぐに無理をすると、そのあとで体に疲労や不調が出ることも考えられます。お産の疲労が抜けないうちは、無理せずゆったりとしたペースで働くことを心がけましょう。
子供に自我が芽生えてくる時期です。イヤイヤ期を迎え、0歳児とは違った理由で手がかかるように。また、この頃から、公園や児童館などで他の子と遊ぶことも出てくるため「順番を守らせる」「お友達のおもちゃを取らない」といった、しつけや対人トラブルについて悩むことも増えてくるかもしれません。
トイトレや食事のマナー、服の脱ぎ着など、親が教えなければならないことも増え、仕事をしていると手が回らず辛いと感じる人もいるかもしれません。
保育園の空きが出やすくなったり、幼稚園に入れられたりするようになることで、本格的にフルタイム復帰をする人が増える時期です。復帰後は環境が変化するため、親子ともサポートが必要な時期といえるでしょう。
意思疎通が図れるようになり、育児が楽になってきている時期とはいえ、登園しぶりなどを経験する子供も多く、悩まされるママもいます。
また、風邪や病気になったら、仕事を急に休んだり、早退したりする必要があります。せっかくフルタイムで働き始めたのに、思うように仕事に力が入れられない不全感が苦しいお母さんもいることでしょう。
小学校入学に向けて、勉強や習い事に力を入れ始めなければならないことを負担に感じるお母さんもいます。また、幼稚園に入園させた場合、PTA活動や、お弁当作りの必要も生じるため、時間を確保できそうかは事前に検討しておく必要がありそうです。
子供の宿題を見てあげる時間や、PTA活動の時間がうまく確保できず、キャパオーバーに感じるママもいることでしょう。保育園に比べ、小学校は親が気にかけてあげなければならないことが多く、働き方をペースダウンしなければならないこともあります。
また、子供の対人トラブルなどが発生した場合、親がサポートをしてあげなければいけません。いじめなどの問題に発展することもあるため、目は離せません。
手はかからなくなったとはいえ、まだまだ仕事にフルコミットできるようになるまでには時間がかかり、フラストレーションを覚えることもあります。
仕事と家庭のバランスをとることはとても難しいもの。無理せず両立するためのコツについて、代表的なものを6つ紹介します。
育児と仕事の両立に理解のある職場を選ぶことは、非常に重要です。フレックスや在宅勤務などができる職場では、子供の急病や学校行事などに対応しやすくなるでしょう。早退や欠勤などが減らせるため、働く上でのストレスも緩和されます。
一方で、理解のある職場を誰もが選べるわけではありません。あまり理解のない職場に勤めている場合でも、国の法律や制度で利用が保証されている制度については、職場に遠慮せず、どんどん利用しましょう。
たとえば、産休や育休を与えることや、時短制度、時短勤務中に残業をしないことなどは、労働者が申し出た場合、事業者は義務として与えなければならないことが決まっています。
ファミサポなど、地域で比較的安価に利用できる制度がないかどうかも確認しておきましょう。いっとき気まずい思いをするかもしれませんが、育児と仕事の無理のない両立を目指すことで、あとに働く人が働きやすくなることも考えられます。
上司や同僚には、自分の育児状況や仕事上の悩みなどをオープンに伝えておきましょう。万が一の場合にも、理解や協力を得やすくなります。信頼関係の構築にも役立ちそうです。
子育ては、急な早退やお休みを取らざるを得ないもの。マニュアルや引き継ぎをマメに更新することで、自分が不在でも仕事が滞らないようにしておきましょう。マニュアルや引き継ぎを共有する相手と、定期的に仕事の手順などについて確認を取り合うことも重要です。
仕事が楽しくないと思い続ける状況は、精神によい影響を与えません。自分が10年後、20年後、どのような生活をしていたいかを考え、そのための準備をすることで、不快感なく働くための一歩を踏み出しましょう。
どんな仕事をしたいか、どんなスキルや資格が必要か、どんなステップを踏むかなどを具体的に検討しておくことをおすすめします。上司や同僚にも自分の意思や方向性を伝えておけば、新たな視点が見つかるかもしれません。
フルタイムで働くママは、疲労やストレスが溜まりやすく、身体的・精神的な不調に陥りやすいもの。病院やカウンセリングについては早め早めの受診を心がけ、自分の心身のバランスを客観的に把握する習慣をつけておきましょう。
時間の捻出がどうしても難しい場合は、オンラインでの病院やカウンセリングの受診も検討してみて。通院するのとほとんど変わりなく診察が受けられます。
フルタイムで働くママは、仕事も育児も完璧にこなそうとしてしまいがちです。また、仕事も育児もどちらも楽しいと感じている場合、手を抜く理由がなく、24時間動き続けてしまうことも。体力を消耗しすぎ、燃え尽き症候群などになってしまうことも考えられます。
「少し疲れたな」「最近、イライラすることが増えたかも」と思ったら、早め早めにタスクを手放す勇気をもちましょう。具体的には、仕事や家事・育児の一部を他人に任せたり、優先順位の低い取り組みについては後回しにする、外注するなどがおすすめです。
フルタイムで働きながら子育てをするママは、子供との時間をあまり取れず不安に思うことがあるかもしれません。ここでは、無理せず子育てを楽しむためのコツを5つ紹介します。
忙しい毎日でも、子供と深く関わりを持ちやすいのが夜の寝かしつけの時間です。おしゃべりをしたり、歌ったり、本を読んだり、抱きしめたりといったルーチンをもつことで、子供に愛情や安心感を伝えましょう。
子供の1日の様子や気持ちを聞いたり、自分の1日の様子や気持ちを話したりすることで、子供とのコミュニケーションを図ることもおすすめです。
子供が3歳以上など、言葉で意思疎通ができるようになっている場合は、お手伝いを頼んでみることも検討しましょう。食器をシンクに持ってくる、家電のスイッチを押してもらう、シーツをベッドや布団まで運んでもらうなどの小さな家事から始めるのがおすすめです。
最初はむしろフォローに手がかかってイライラするかもしれませんが、そのうち、自分のことは自分でこなしてくれるようになり、育児がグッと楽になりますよ。
保育園のほか、自治体が運営するファミリーサポートセンターやシルバー人材センターのほか、ワーカーズコレクティブ、ベビーシッター、家事代行サービスなど、育児や家事を外注する先は思ったよりも豊富です。
どの選択肢も安価に利用できるケースがあるほか、高額な場合は国や自治体の補助金制度を利用できることも。疲れているときやリフレッシュしたいときなどにぜひ検討してみましょう。
緊急の際すぐに頼れる体制を作っておくためにも、余裕のあるタイミングで利用登録や相談をしておくことをおすすめします。
どんな環境であっても、育児は大変なもの。つらいときや苦しいとき、相談できる配偶者やパートナー、仲間に頼ることで、メンタルを穏やかに保ちましょう。
パートナーとの時間やデートも大切にする、カップルカウンセリングを定期的に受けるなどして、日頃から支え合える関係を作っておくと、万が一の際にも安心できそうです。
どんなにサポートがあっても、不安や問題が生まれてしまうのが育児です。自分の不満や不安を吐き出したり、客観的な意見やアドバイスを得たりすることで、進むべき方向を定期的に確認しておきましょう。
周囲に悩みを話したり、カウンセリングなどを受けたりすることで、自分の気持ちや悩みに対して前向きな解決策を見つけることができます。
フルタイムで働きながら子育てをすることは、誰もができるわけではありません。体力や周囲のサポートの有無、職場の環境や子供の状況などによっては、働き方を変えることを検討したほうがよいこともあるかもしれません。フルタイム以外の、働き方のアイデアについて解説します。
フルタイム勤務をしていると、残業をして仕事を終わらせたいと思うタイミングは必ず発生するはず。特に、仕事が楽しいと感じていると「残業をしてでも成果を残したい」と感じてしまい、結果的に帰宅後の体力がなくなってしまうことも。
余裕がなく、子供に怒鳴ってしまうなどのデメリットが生じている場合、いっそ「残業は絶対にしない」と割り切ってしまうのもアリかもしれません。
子供が小学校の間は、習い事の送迎や勉強の面倒を見るなどで、育児に時間がかかることも多いもの。キャリアを追求することが難しい場合は、子供が中学生になったタイミングなど、子育てがやや落ち着いてきた頃から、本腰を入れて職場に復帰することを検討しましょう。
それまでの期間は、自分がスタートダッシュを切るタイミングに向けてスキルアップを検討しておきます。
オンライン講座の受講や資格の取得のほか、興味や適性のある分野や職種の研究、人脈や情報を開拓するなど、できることはたくさんあります。自分のキャリアを考えながら、興味のあることにどんどん挑戦してみましょう。
子供の急病やケガ、自分の体調不良や事故、急な出費など、育児は「予定外」の事態が起こりやすいものです。何かがあった際、セーフティーネットとなるような存在を常に用意しておくことが重要といえるでしょう。
保険や貯金などを利用するほか、ファミリーサポートセンターなどの頼れる委託先、カウンセラー、かかりつけの病院、家族や友人などの連絡先や相談先などを確保しておきましょう。
フルタイムで企業に勤務することがつらく思えてきたときは、フリーランスとして働くことも検討してみましょう。フリーランスは、自分の時間や場所や内容を自由に決められるほか、仕事量も家族の状況にあわせて調整ができるといったメリットがあります。
夫婦どちらも正社員としてフルタイムで働いている場合、家庭内に余裕がなくなり、家庭内の雰囲気がギスギスしてしまうことも。育児に手がかかるうちは、一方が仕事量や時間を調整しやすい働き方を選ぶなどの工夫も必要なのかもしれません。
ただし、フリーランスとして働く場合、厚生年金に加入できないことや、有給、育休、産休などの制度が用意されないこと、仕事を休んだ場合は無給になるケースが多いことなどについては注意が必要です。
フルタイムで働きながら子育てをするママは少なくありません。しかし、その両立は難しいのが実際のところです。心身が限界を迎えないように、育児と仕事の両立に理解のある職場を選ぶことや、周囲のサポートを受けることなどを、意識して取り組みましょう。
子育ては1人でこなすことは不可能です。自分の時間や夫婦関係も大切にすることも忘れないように心がけながら、子供も親も笑顔でいられる家庭を作りましょう。
また、どうしてもフルタイムで勤務することが難しい場合は、これまで培ってきた技能やスキルを活かしてフリーランスで働くこともおすすめです。
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